
対局を観戦していると、「評価値」って出るよね。
あれって、どうやって出しているの?



AI が現在の盤面を「AI同士が戦ったら先手後手どちらが勝ちやすいか」「駒得・持ち駒・王の位置」などなど様々な考え方をつかって数値化して出しています!



AI が「評価値」を出しているのね。
・・・そもそも、将棋のAIってどんな仕組みで動いてるの?
人間はAIに勝てるかな?
あーもう全部気になる!くわしく教えて!



おまかせください!


※ AI の世界は進化が激しいため、できるだけ陳腐化しないお話を中心に書かせていただきます。
- 観戦中に出てくる、評価値の出しかたがバッチリわかります!
- 将棋のAIがどの様に次の着手を決めているかがわかります!
- 将棋のAIに人間が勝てるのか・・・!?その展望もお伝えします
- 将棋を観るのがもっと楽しくなります!!
それでは始めていきましょう!
将棋の AI ってなんだろう?





そもそもなんだけど。将棋のAIってなんだろう?



ズバリ。
将棋対局の場面ごとに、「どう指すと勝率が高くなるか」をコンピュータがはじき出すためのツールです。
将棋の AI との対戦の場合には、AI は「いちばん勝率が高い」と 判断した着手を繰り返します。
↓ そのため、AI 同士の対戦は人間と異なった感覚の着手もあります。
将棋の AI はどう評価値を出している?





将棋のAIってどうやって、次の手を決めているの?



次の手となりうる大量の候補に、それぞれ評価値をつけ、一番点数の高い手を選択し次の手とします。



じゃあ、将棋のAIで評価値ってどうやって出しているの?



いくつか方法があります。
膨大なコンピューター資源を使えるか、使えないか。
短時間で計測できるかどうか、様々な条件によって最適な方法は変わります。
あらかじめ、駒得、手駒、駒の攻めの効き、駒の守りの効き、王の位置などの要素をそれぞれ関数化しておきます。現在の盤面を、それぞれの関数に入力すると、数値が出ます。その総合点を評価値とする方法があげられます。
次の候補手を指したあと、次の候補手。さらに次の候補手と何千万、何億局とコンピューターの中で仮想対局を進め、一番勝率の高い手を選択する方法もあります。なお、この方法は、Google の AI 開発の手法として採用されていますが、膨大なコンピューター資源が必要となる手法でもあります。
将棋の AI とプロ棋士の対局・その歴史





将棋のAIとプロ棋士の対局って今までに行われてたの?



はい。2012年から2017年まで電脳戦という形で行われました。
年 | 棋士 | プロ棋士位から見ての勝敗 | ソフト名 |
---|---|---|---|
2012 | 米長邦雄永世棋聖 | 1敗 | ボンクラーズ |
2013 | 現役プロ棋士代表5人 | 1勝3敗1引き分け | コンピュータ将棋代表5ソフト |
2014 | 現役プロ棋士代表5人 | 1勝4敗 | コンピュータ将棋代表5ソフト |
2015 | 現役プロ棋士代表5人 | 3勝2敗 | コンピュータ将棋代表5ソフト |
2016 | 山崎隆之叡王 | 2敗 | Ponanza |
2017 | 佐藤天彦叡王 | 2敗 | Ponanza |
参考:日本将棋連盟ページ
↓2017年佐藤天彦九段と Ponanza の対局動画



将棋の AI って強いのね・・・!



強いです。ただ、2017年の2局目は、序盤佐藤天彦九段がリードしており、遠く及ばないということではありませんでした。
将棋の AI に人類は勝てるのか?可能性にせまる!





「将棋のAI」って強いよね。序盤中盤終盤すきがない。
人類は勝てるチャンスはあるのかな・・・?



2022年現在、将棋ポータル編集部としては、持ち時間次第では勝機があるのではないかと考えています。理由は以下のとおりです。
↓ コンピューター将棋の歴史をヨビノリ先生が解説されていらっしゃいます(長編です)。
「正解」にはたくさんの対局試行が必要
2022年現在、時間とコンピューターのリソースが許せば、最強 AI は Google Alpha Zero ではないかと思います。
Google がゲームの世界で本格的に AI 参入したのが 2017年。囲碁の世界チャンピョンを相手に大きく勝ち越す実績をあげました。それからさらに AI は改良されていき、Alpha Zero という形で、各ジャンルで活躍しています。



電脳戦がおわってから、AI の世界でもいろいろと変化があったのね。



はい。そして、囲碁の世界で Google は参入しましたが、Alpha Zero の囲碁の手法で将棋に応用できる部分は、多いと思われます。
Alpha Zero は、ディープラーニングという手法を用いています。大量の棋譜から大量の対戦を自身で繰り返し、勝率の高い手を自身で見つけ出す方法で次の着手を決めています。つまり、より正確に次の着手として望ましい手を選ぶには、たくさんの対局をコンピューターの中で繰り返す必要があります。
「正解」に時間がかかる AI 。「直感」のある人間。
一方でトップ棋士の着手には、AI が短時間で読んだ最善手を上回る着手もあります。もちろんトップ棋士としての「ヨミ」は存在していますが、「直感」の要素もあるのではないでしょうか。
ここが、人間が AI に勝つ勝機ではないかと考えます。つまり、持ち時間の短い対局であれば、人間にも勝機はあると将棋ポータル編集部としては考えます。



もし本当にそうだとしたら意外ね。
時間が少ないほうが人間にチャンスがあるなんて。



はい。
今後、「直感」の部分を言語化しプログラムや数値として表現できる様になったとしたら・・・。そのさきは想像がつきませんね。
まとめ





藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖)とAIが対局したらどうなるのか・・・?見たいファンもいらっしゃるかも。



ついポロッと「藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖)とAIとの対局をみたいと!」とおっしゃっている先生もいらっしゃいました(笑)。実現したら本当に楽しみですね。
今後も将棋のAIについて、追記していきます。将棋のAIについて、あなたの「ココが知りたい。」「こんな話もあるよ!」をコメント欄にて、ぜひお知らせください。
最後まで読んでいただき有難うございました!


\ 楽しい記事がいっぱい! /